仮想通貨の代名詞といえばビットコインですが、現在世界中には1000種類をはるかに越える仮想通貨が存在しています。
そして仮想通貨は日夜時価総額でランキング化されています。これはcoinmarketcapというサイトで誰でも確認することが出来ます。
この1000種類をはるかに越える種類の仮想通貨の第1位はもちろんビットコイン。そして2位にランキングしているのが、今回紹介するイーサリアムです。
3位以降はかなり変動していますが、この一年1,2位の順位は不動と、もはやビットコインと双璧をなすと言っても言い過ぎでない風格を醸し出しています。
そんなイーサリアムについて詳しくみていきましょう。
イーサリアムの歴史
イーサリアムは2013年にヴィタリック・ブリテンにより設計が始められ、2014年7月に販売が開始、2015年には日本国内の仮想通貨取引所でも取引されるようになりました。
2014年スイスに設立された非営利団体「イーサリアム財団」によって調達された資金は管理されています。
イーサリアムの特徴
ビットコインが法定通貨と同じように物の売買や決済に利用されるのに対して、イーサリアムはその土台となるブロックチェーン技術を応用して、誰もが新しい機能を作り出す為に使用されます。
ビットコインが「お金」であるのに対して、イーサリアムは価値ある技術という「サービス」を提供するものです。そのためイーサリアムは「世界のコンピューター」と表現されることもあります。
実際イーサリアムのプラットフォームEVM(Ethereum Virtual Machine )は、これに近い役割を目指しています。
もちろんビットコインのブロックチェーンを利用する方法もありますが、イーサリアムはビットコインよりも柔軟に設計されているので、幅広い分野で応用することが出来る設計になっています。
これは偶然の産物ではなく、イーサリアムの元々の設計理念の中に、ブロックチェーンという技術を利用した柔軟なアプリケーションを作成するためのプラットフォームを目指すというものがあったからです。
またイーサリアムのプログラミングは「チューニング完全」と呼ばれていて、何にでも応用できるプログラミングで、応用が限定されているビットコインとは真逆の性質を持っています。
さらにイーサリアムは仮想通貨の取引情報に加えて、契約情報もブロックチェーンで記録出来るという特徴を持っています。
ビットコインは取引記録だけをブロックチェーンに記録していますが、イーサリアムは契約情報まで記録する機能を持っている事で、自動で売買契約の支払いが出来たり、その他のさまざまな契約を実行する事が出来ます。
この機能はスマートコントラクトと呼ばれ『契約の自由化』とも呼ばれています。
スマートコントラクトとは
例えばスマートコントラクトを利用した契約の場合、
②イベント(出来事)が発生
③契約が執行され価値の移転が起こる
④決済
②~④まで自動で実行されるとまた②に戻るといった仕組みで、契約が自動更新される機能として使用出来ます。
例えば、本が一冊売れると10%の印税が作家に渡るという①の契約をしたとします。本が売れ②代金が支払われた時に③の中から自動的に10%の印税が作家に振り分けられる④が自動で行われ、また②に戻る仕組みです。
このようにスマートコントラクト機能を利用すると、印税が入るまでの時間も印税を計算する手間も省かれ効率よく契約を利口する事が可能になります。
イーサリアムの通貨単位「ETH(イーサ)」
イーサリアムの通貨単位はETHと呼ばれています。イーサリアムはプラットフォームなのですが通貨は持っています。
この通貨はイーサリアムブロックチェーンの上で作成されたアプリを稼働するときに利用されます。イメージ的には燃料のようなものなので、ガス「Gas」と呼ばれています。
イーサリアムのイーサは通貨としての機能も備えているので、円やドル、ビットコインなどと交換する為のレートも存在します。
イーサリアムアプリケーションが増えることで、その燃料となるイーサの需要が増え、価値も高くなります。もちろんその逆もあり得ます。
都市ガスやプロパンガスを想像すると分かりやすいですね。
イーサリアムの機能と脆弱性
イーサリアムの代名詞であるスマートコントラクト機能はとても便利な反面、脆弱性を生み出してしまう原因となり、ハッキングなどの攻撃を受けやすくなります。
実際イーサリアムは販売されて以降、ビットコインよりも多くのシステム修正をしています。少し不安になる要素なのでしっかりと確認してみましょう。
イーサリアムが関わった有名な事件にDAO事件というものがあります。DAOは2016年5月に公開された、イーサリアムを土台にして作られた仮想通貨でしたが、公開から2ヶ月もたたないうちに150億円発行した通貨の内1/3、50億以上の通貨が盗まれる事件が発生しました。
当然ながらイーサリアムの信用はガタ落ちし、イーサリアムの通貨も一時的に暴落してしまいます。
しかしこの事件は、DAOのプログラム情報に、本来であれば鍵がかけられているはずが、実際には鍵が開いた状態になっていて盗難可能な状態だったことが発覚します。つまりイーサリアムには問題はなく、DAOのプログラムに問題があったわけです。
イーサリアム側はイーサリアムブロックチェーンに紐づけされていたDAOの取引記録を、ハードフォークという手法を使用し、盗まれる以前の状態に復旧させました。
このハードフォークにより盗んだDAOは使用できなくなり、被害者も損害を被ることなく事件は円満解決しました。
事件自体は円満解決しましたが、この事件の解決のためにハードフォークという手法を用いた事が、イーサリアムを開発した技術者の中に仮想通貨に対する考え方や方向性の違いを生み出してしまい、イーサリアムはイーサリアムとイーサリアムクラシックに分裂しました。
イーサリアムと似た名前のイーサリアムクラシックという通貨があるのはこういった背景があります。
ちなみに事件は円満解決した為、脆弱性に対する対処も可能ということが証明出来たイーサリアムは、事件後信用を回復し現在の地位を確立している事も合わせてお伝えしておきます。
仮想通貨にはイーサリアムのように、今後の技術の土台になりそうな素晴らしい技術を持つものもあります。
通貨の奥にある、技術の価値に投資してみようと思われる方には、イーサリアムはおすすめの通貨といえるかもしれません。